著作権法と無料ダウンロード
何が違法で何が合法なの?
合法
- ファイル共有ソフトや無料音楽サイト、違法着うたサイトから音楽等をダウンロード
- 上の方法で得た音楽を個人的に聴いて楽しむ
違法
- 入手方法を問わず、他人の著作物を許可なしに他人に公開(アップロード)すること
- 入手方法を問わず、他人の著作物を許可なしに他人に販売すること
音楽をサーバーにアップロードして公開したり、ファイル共有ソフトで他人が入手できる状態に置くと、著作権者の「公衆送信権」を侵害する恐れがあります。しかしダウンロードに関しては一部の例外を除いて合法です。
これではアップロードする人がいる限りダウンロードする人が減らないのは当然です。
だって音楽や漫画が合法的に無料で手に入るんですから。これを利用しない手はないでしょう!
2010年1月、改正著作権法が施行され、ダウンロードも違法になります。詳しくはこちらをご覧ください。このページの内容は2009年6月1日時点のものです。私は法律の専門家ではありません。注意して書いていますが、間違いがあるかもしれません。最終的な判断はご自身で、ご利用は自己責任でお願いします。(詳しく)
著作権法「アップロードは違法、ダウンロードは合法」
音楽をダウンロードするにあたって関係のありそうな法律と言えば著作権法です。ここではアップロード(公開)とダウンロードに分けて考えてみましょう。
アップロードは違法
著作権法は著作物を無断でアップロードをする(=他人が入手できる状態におく)ことは、「公衆送信権」を侵害するとして禁止しています(23条)。
これへの異論はほとんどありません。実際に何人もの人がファイル共有ソフト等で著作物を無断で公開して逮捕されています。
ダウンロードのみなら合法 (一部除く)
著作権法において、ダウンロードは、著作者の「複製権」を侵害しそうですが、一部の例外を除けば「私的利用」に該当し(30条)、合法であるとされています。
ダウンロードが合法となるための条件:
・家庭内など限られた範囲内で、仕事以外の目的に使用すること
・使用する本人がダウンロードすること
・誰でも使える状態にあるダビング機などを用いないこと
・レーベルゲートCD、コピーコントロールCD(CCCD)などのコピープロテクションを解除して(又は解除されていることを知りつつ)ダウンロードするものでないこと
文化庁はこう言っている!
文化庁の資料では私的利用の複製については以下の見解となっています。
私的使用のためのコピー(複製)(第30条)
「テレビ番組を録画予約しておいて後日自分で見る場合」などのように「家庭内など限られた範囲内で,仕事以外の目的に使用することを目的として,使用する本人がコピーする場合」の例外です。インターネットを通じて得た著作物をダウンロードしたりプリントアウトしたりすること(いずれも「コピー」に該当する)にも,この例外は適用されます。また,学校の児童生徒などが本人の「学習」のために行うコピー(コンピュータ,インターネット等の利用を含む)も,この例外の対象です。
【条件】
ア 家庭内など限られた範囲内で,仕事以外の目的に使用すること
イ 使用する本人がコピーすること
ウ 誰でも使える状態で設置してあるダビング機など(当分の間は,コンビニのコピー機など「文献複写」のみに用いるものは除く)を用いないこと
エ コピープロテクションを解除して(又は解除されていることを知りつつ)コピーするものでないこと
なお,政令(著作権法施行令)で定めるデジタル方式の録音録画機器・媒体を用いてコピーする場合には,著作権者に「補償金」を支払う必要がありますが,これらの機器・媒体については,販売価格に「補償金」があらかじめ上乗せされていますので,利用者が改めて「補償金」を支払う必要はありません。 著作権テキスト(PDF)文化庁 著作権に関する教材、資料等
違法に流通した著作物の複製(ダウンロード)が合法なのか、という疑問には以下が答えています。
私的使用のために複製される著作物等には、適法に流通しているもののみならず、著作権者等の許諾を得ずに違法に複製・頒布等されるものがある。そのような著作物等について、現行法では、私的使用のための複製の対象から除外されていない。 文化審議会 著作権分科会 法制問題小委員会(第5回)議事録 [資料2]−文部科学省より
JASRACはこう言っている
ちなみに音楽の著作権を管理する団体である社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)は、ファイル共有ソフトについて次のように言っています。
質問
ファイル交換ソフトを使って音楽データをダウンロードしてはいけないのですか
回答
音楽や映像などの著作物データを、ファイル交換ソフトを使ってネットワーク上で共有する場合は、その仕組みを提供する人も、交換をおこなう人も、著作権を侵害することになります。例えば、CDを音源としたMP3であれば、その楽曲の作詞者、作曲者の著作権を侵害するだけでなく、レコード製作者、実演家(アーティスト)の著作隣接権も侵害することとなります。ファイル交換という仕組みそのものが違法ということではありませんが、その仕組みにおいて、著作権をはじめとした様々な権利の保護方法が確立されていない現状では、JASRACもライセンスを差し上げることはできません。ファイル交換ソフトを使って音楽等の著作物をダウンロードすることはお控えいただくことをお願いいたします。 JASRACウェブサイト・よくあるお問い合わせより(赤字下線は引用者)
巧妙に「違法です」とか「禁止されています」とは書いてありません。あくまで「お控えください」の立場です。
ただし、ファイル共有ソフトには気をつけよう!
ファイル共有ソフトの中には、ダウンロード先フォルダと共有フォルダが同じになっているものがあります。
この場合、意図せずにアップロード(多くの場合違法)を行ってしまう恐れがあります。
設定をよく確認してこのようなことにならないようにしましょう。
社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)も次のように言っています。
ファイル交換ソフトのWinMXを利用して、楽曲をダウンロードするのは自由と思っている人は多いようですね。著作権法に詳しい人ほど、そう思いこんでいるようです。たしかに、著作物は、個人的な使用を目的とする場合は、その使用する者が複製できると定めています。したがって、楽曲をダウンロードし、それをCDにコピーして聴いて楽しむのは違法ではなく、そのCDを他人に売ったとたん目的外使用となって複製権のみなし侵害になるというわけです。
ASKACCS - 著作権、情報モラルQ&A - c586 WinMXの合法と違法の境は?より)
ただし、winnyはシステム上違法となる †
前述のACCSによれば、winnyは共有の設定に関わらずデータを送受信するので違法となるらしい。
ここらへんはかなりきわどい。グレーゾーンである。
ファイル交換ソフトは、その名称の通りファイルをやりとりするソフトです。そのソフトを使って、P2Pのネットワークに参加するということは、ダウンロードと送信行為の双方に参加することです。Winnyの場合、送受信に第三者のコンピュータが介在して、バケツリレーのように転々とします。信するファイルは、暗号化され、キャッシュとしてパソコンに取り込まれるので、自分のパソコンにどんなファイルが取り込まれ、それが誰に向かって送信されたのか分かっていないだけです。
このため、いったんWinnyのファイルを使用してP2Pのネットワークに参加すると、受信だけのつもりが送信行為にも加担することになり、送信可能化(公衆送信権に含まれる)に違反することになります。 ASKACCS - 著作権、情報モラルQ&A - c614 P2Pで音楽ファイルをダウンロードしたい。より
ダウンロードも違法化へ
しかしこれではアーティストなどにお金が落ちないので彼らが困ってしまいます。
そこで政府は06年、著作権法の改正に向けて準備を始めました。
さらにアーティストなどにお金を落とす仕組み「私的録音録画補償金制度」の改正も検討し始めました。
海賊版の音楽や映像、ネットでの入手禁止 法改正検討
政府の知的財産戦略本部(本部長・安倍首相)は音楽や映像を違法コピーした「海賊版」をインターネット上からダウンロードすることを全面禁止する著作権法改正に着手する。27日に開く知財本部コンテンツ専門調査会に事務局案を提案。罰則も設け、08年通常国会に提出をめざしている改正案に盛り込む。海外でも人気が高い日本のマンガやアニメなどの権利保護を強め、コンテンツ産業の育成を促す狙いがある。
現行の著作権法では、著作権者の承諾なしに複製したコンテンツをネット上に流すことは違法だが、違法コピーをダウンロードしても、個人で利用する限りは著作権の侵害とはならない。このため、ネット上で違法コピーを入手する行為が横行しても、規制するのは極めて困難だ。2006年11月24日、朝日新聞朝刊3面。(赤字下線は引用者)
そして去年07年秋、いよいよ著作権法改正が濃厚になってきました。
無許諾の音楽・映画、ネットで入手は自宅でも違法 文化庁小委案、著作権法改正求める
インターネット上で、著作権者の許諾を得ずに流通している音楽や映画などの作品を、一般の人がパソコンなどにダウンロードする行為が違法になる公算が大きくなった。現在は、個人が家庭内で楽しむ範囲であれば違法でないが、文化庁・文化審議会の著作権分科会・私的録音録画小委員会が「違法化」で著作権法を改正する意見が大勢となったとする中間報告案をまとめた。26日に公表される。(赤田康和、新谷祐一)
小委は、家庭内での著作物の複製行為にどこまで著作権を及ぼすことができるか検討してきた。 著作権法は、音楽や映画などを作曲家や映画会社など著作権者に許諾を得ずに、勝手にコピーすることを禁止している。だが、個人が家庭内で楽しむ範囲に限ってパソコンなどにダウンロードしたり、複製したりすることを許している。
このため、現在は、著作権者の許諾を得ずに、ファイル交換ソフトや動画投稿サイト「ユーチューブ」などを使ってネットに違法に配信されたテレビ番組や音楽、映画であっても、個人がパソコンにダウンロードするのは違法ではない。2007年9月21日、朝日新聞夕刊1面。赤字下線は引用者
その後、文化庁文化審議会がこの件に関するパブリックコメントを行ったり、MIAUが設立され反対運動なども起こりました。
「私的録音録画補償金制度」で揉めています
「ダウンロード違法化」はほぼ決定事項だが、現在は「私的利用の複製」においても著作権にカネを落とす仕組み「私的録音録画補償金制度」の制度見直しでもめたため、2008年通常国会での法案提出は見送られました。
最近のメディアのデジタル化で音楽等が全く劣化なく私的利用の複製されることで、本来得られるはずだった権利者の利益を害することが問題になり、1992年の著作権法改正で「私的録音録画補償金制度」が導入されました。
この制度では利用者は私的利用の複製のたびに権利者にお金を払わねばならないことになりました。しかし私的利用複製のたびにお金を払うことは現実的はなかったので、録音・録画する媒体の価格に予め権利者に払うお金(補償金)を上乗せすることになりました。このため利用者は媒体購入時に補償金を支払うことになり、私的利用複製のたびに補償金を支払う必要はないのです。
この「媒体」には現在、 カセット、MD、CD、VHS、DVDが指定されていますが、iPodの登場などで録音環境もここ数年で急変しました。「iPodなども私的録音録画補償金制度の対象とすべき」(いわゆるiPod課金)、「そもそも補償金制度自体が時代に即していないので制度を変えるべき」といった意見も出ており、なかなか議論はまとまっていない。
いわゆる“iPod課金”問題は先送りにし、2010年1月からダウンロード違法化
結局iPod課金の問題はステークホルダーも多く解決せず、それ以外の部分が改正されることになりました。著作権法改正案は3月10日に閣議決定され、6月12日に参院で可決され、成立しました。よって2010年1月1日よりダウンロードも違法となります。
改正著作権法10年にも施行 番組のネット配信円滑に
著作権法の改正案が10日、国会に提出された。(1)テレビ番組のインターネット配信などコンテンツ利用の円滑化(2)海賊版など違法コンテンツの流通抑止(3)障害者の情報利用・文化享受の促進の3点が大きな柱だ。可決されれば、来年1月から施行される。2009年3月11日、朝日新聞朝刊22面
法案は、文部科学省ホームページで公開されている。
改正著作権法「ダウンロードも違法!」2010年1月1日から
2009年6月12日、ダウンロードも違法とする改正著作権法参院で可決、成立した。2010年1月1日より施行される。参考文献
法律の解釈等については以下のページを参考にさせていただきました。
社団法人 日本レコード協会|Respect Our Music
社団法人 日本レコード協会|STOP! ILLEGAL COPY
法律の素人である管理人が個人的に調べたもので、間違い等があるかもしれません。その際は是非ご連絡をいただけるとうれしいです。
07/4/13:初出
07/5/25:更新[JASRACの見解など追加]
07/9/7:「技術的保護手段」について追加
08/1/16:怪しげな部分を削除。より曖昧にする
08/4/26:全面改訂。
08/8/3:誤字脱字などの訂正
09/1/31:結論はわかりやすくした
09/2/4:「私的利用の複製」に関する記述が落ちていたので追記
09/3/20:改正案国会提出を受けて一部追加
09/6/17:改正著作権法成立を受けて一部追加、改変
09/10/1:リニューアルに伴い全面改訂。


